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【小説】ウルトラマンムース

1 名前:名無し募集中。。。 投稿日:02/06/09 22:32 ID:NSFSuzRv
小説です

46 名前: 投稿日:02/06/17 23:09 ID:Ee9wdabH
夕方4時。
今日も無事に学校が終わる。
石川は掃除当番のため教室に残っていた。
「じゃーねー」
みんなが教室を出ていく。親友の吉澤はというと校庭で待ってると言いいち早く教室を出ていた。
「え〜、私にぃ?困っちゃうな〜。告白の仕方〜?」
石川は掃除の手を休めることなく恋の相談に乗っている。困っている口調だが顔はまんざらでもない笑顔だ。
「でもさぁ、もうすぐバレンタインじゃん。だからそのときに・・・って言うのはどう?」
まるで自分の事であるかのように話す。
「先輩もきっと好きだよ。大丈夫、大丈夫」
力強く頷きながら言う。
石川はティッシュと会話していた。
夕日が綺麗だった―――――

47 名前: 投稿日:02/06/17 23:10 ID:Ee9wdabH
「ごめ〜ん!」
「あ、遅いよー。なにやってたの?」
玄関から急いで走ってくる石川に気づき吉澤が言った。
「ごめんごめん。つい話が盛り上がっちゃってさ〜(ティッシュとの)」
「まあ、いいや。さっさと帰ろうぜ」
「そうしよ。さっさっと帰ろうさっさと」
二人は校門に向かって歩き出す。
「おーい!お前たつぃ〜」
と、体育館の方から二人を呼ぶ声がする。
振り返ると部活中の矢口が渡り廊下に立って手を振っている。
よくみると腕の関節が変な方向に曲がっている。矢口は昼休みから二人に向かって手を振っていたのだ。
「矢口さああああん!!!!」
「救急車呼んでくれぇぇぇぇぇ!」
二人は矢口の下に走って(むしろ泳いで)ゆく。
「どうしたんですか?」
石川が聞く。
「明日さぁ、日曜日じゃない。ちょっと二人付き合ってくんないかな」
「なんかあるんすか?」
「うん。合コンなんだけどさ、明日に限って誰も空いてないのよ」
「へえ、合コンかぁ・・・」
「うん。ちょっと二人にきてもらえれば嬉しいんですけど・・・」
矢口がすまなそうな顔で吉澤を見る。
「う〜ん、いいですよ。別に何も予定ないし」
「石川は?」
「大丈夫ですよ。矢口さんの頼みなら・・・」
石川は前歯を二本折られた。
「ありがとう、二人とも。じゃあ、明日の2時半に駅前で集合ね」
「分かりました」
「ばいばい!」

48 名前: 投稿日:02/06/17 23:10 ID:Ee9wdabH
―――その夜
『ピンポーン』
撮りだめしていた『レディス4』をティッシュ片手にみていた吉澤は呼び鈴の音に過剰に反応し急いで停止ボタンを押した。
「はーい」
レンズを覗くとそこにはタイガーマスクがたっていた。
「どうしたの梨華ちゃん?」
「泊まっても・・・いいかな」
「なんで?」
「いいからいいから」
タイガーマスクは靴を脱いだが決してマスクを脱ぐことはなかった。さすが覆面の王者。いつ何時でもマスクマン魂をわすれない。
「どうしたの?こんな時間に泊めてだなんて」
「うん。じつはさ」
「うん」
「お父さんが出張で北海道に行ってたのね」
「ああ、あのサモハン・キンポ似の?」
「それでずっと帰ってこないからああ、今回はずいぶん長い出張なんだなって思ってたの」
「うん」
「そしたらね・・・そしたら今日の晩御飯のまぜご飯にお父さん入れられてたの」
「え?」
「おいしかった。私は7杯おかわりしちゃったの」
吉澤は笑った。3時間笑った。腸捻転になるほどに。

少女の純真無垢な妄想が起こした悲劇・・・。
それは現代社会への悲しき警告だったのかもしれない。
人は誰しもこのような経験をしているのでしょう。これを聞いて左心房の辺りがチクッとしたあなた。そう、あなたです。次の悲劇の主役はあなたかもしれません。(ストーリーテーラー:タモリ)


49 名前: 投稿日:02/06/17 23:11 ID:Ee9wdabH
合コンの日――――
「遅いなー。なにやってんのかな二人とも」
集合場所にいち早く到着していた矢口。今丁度ブロッコリーでの花占いが終わったところだった。
「あ、きたきた。おーい!」
タイガー戦車に乗った吉澤と石川がやってくる。
「すいませーん!ちょっと遅れちゃいましたぁ!」
「やぐちさぁん!」
石川が手を振る。
「おおい!よっすぃー!」
「ういっす。じゃあ、早速行きますか?」
「うんそうしよ。向こうを待たせても悪いしね」
3人は目的の合コン会場へと向かうため駅へと入って行く。

「やっぱり、小泉首相はだめだと思うの。だってね―――」
「・・・あ、あの。梨華ちゃん・・・」
石川の政治の話は6時間続いた。もう山手線も6周目を迎える。
「おい、石川よ」
腸煮え繰り返った矢口(むしろ中尾彬)が7オクターブ低い声で石川を呼ぶ。
「能書きはいいんだよ」
その声は和田アキ子も失禁の迫力だった。
「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
石川がいくらハードMだからといって耐えられるものではなかった。吉澤は気絶していた。

『次は新宿』
駅員の美声が響く。
3人は降車し『でたらめな歌』を唱和しながら駅構内を闊歩する。会社帰りのサラリーマン達は時代のニーズに寸分遅れることのない彼女たちに仏を見たと後に語った。
「はーい、こちらです」
自分をバスガイドか何かと勘違いしている矢口。いっちょ前に旗を掲げてやがる。
「チッ・・・」
矢口の態度に殺意を覚える石川。
「矢口さん。もうホント急がないと・・・」
先ほどから一向にボケようとしない吉澤がまた普通に慌てた感じで言う。

50 名前: 投稿日:02/06/17 23:12 ID:Ee9wdabH
合コン会場『ロイター通信』
すでに会場には猛者共が集まっていた。
「すいませ〜ん」。お待たせして・・・
3人が漸く席に着く。正直引っ張りすぎたかもしれない。そこは俺も悪かったと思っている。
男たちは怒るどころか実にフレンドリーな感じだった。握手・撮影・譲り合い
全ての偽善行為を終えた衆はついに合コン最大イベント・自己紹介が始%ワる。
矢口達は今日のために用意した抱腹絶倒の自己紹介を終えた。男性グループ全員が笑いすぎでケミストリー川畑の顔になった。
「じゃあ、俺たちの自己紹介をしようぜ!」
「OK!じゃあ、俺から言っちゃうぜ!」
「おいおい!調子いいんじゃねえの?!鬼下島!」
「僕達は小劇団”避妊具”のメンバーなんだけど、とりあえず名前と今度やる演劇の役柄を言っていきます。チェケラッ!」

「まずは僕。主人公の島田光を演じます!鬼下島太郎です。」
鬼下島は優しい顔立ちでいかにもこのグループのリーダーという感じだった。
しかしよく見るとアゴが割れている。割れたアゴからは爪楊枝が出ていた。
鬼下島が座ると隣りの男が立ち上がる。

「主人公が張り込み時に食べるミックスサンドイッチについてるパセリの役をやってます。西光司です」
なるほど、西の頭はプチアフロだ。そして次の男が立つ。

「主人公の同僚で一反もめん役の児玉恭二です。ビロビロよろしく!」
児玉はうんこに等しいギャグをやって、実にやり切った顔で座った。多分そのギャグがやりたいだけでココへ来たのだろう。案の定7分で帰宅した。

「主人公が通うフィットネスジムでいつも腹のバイブレーションしかやらないで不可解に思われるイボガエル役をやります。マッちゃんです!ええ、最年少54歳という事で舐められないように頑張りたいと思います」

「皆さん。よろしく、よろしく、よろしクリクリクリトリス!」
これは思わぬ伏兵。なんと一般男性に混じってイジリー岡田が混じっていたのだ。
正直3人はガッカリだった。最低でもエマニエル坊やだろと思った。

51 名前: 投稿日:02/06/17 23:13 ID:Ee9wdabH
自己紹介も終わりしばしの談笑が始まる。楽しく趣味の話を広げる者もいれば
足マッサージを始める者もいた。隣りではサイバイマンとZ戦士たちが死闘を繰り広げていた。すでにヤムチャは逝っていた。

「王様ゲーム!!」
ここでベタが好きな鬼下島が叫ぶ。
「やろうよ、みんな!」
「いいですよ。別にいいよねよっすぃー」
「はい!」
吉澤は笑顔で返事した。彼女は今回一度もボケないと決意していた。
「じゃあ、とりあえず割り箸で作ったから引いて引いて」
鬼下島が大勃起でしゃべる。
「王さまだーれ?」
「あ、俺だ!」
以外にもマッちゃんが声を上げた。
「うわぁ。マッちゃん。頼むよ〜」
矢口がノリノリでいう。
「2番さんと4番さんが・・・」
西と岡田がぴくっと動いた。明らかにバレバレである。
「怪獣に変身!!!」

バスコ・ダ・ガマァァァァァァァァァァァ!!!!!

轟音と共に現れたのは巨大延長コードだった。
全長何メートルあるだろうか。長い。とにかく長い。のびたのママの説教ほっど長い。
『ロイター通信』を破壊した延長コードは縦横無尽に暴れまわる。
壊される直前に何とか非難した矢口達。
「やばいよぉ・・・。こんなとこにまで来て怪獣かい」
「あう!お腹がぁ!!お腹がアブダクショーン!」
吉澤と石川は綺麗にハモりながら走り出す。近くの曲がり角を急いで曲がる。
「あ、二人ともどこ消えるのー?」


52 名前: 投稿日:02/06/17 23:14 ID:Ee9wdabH
「チェーンジムース!」


来た!やったぜ!ウルトラマンムースの登場だ!
ん?どうしたムース。今日は不機嫌なのか。ちっとも延長コードに攻撃しようとしない。それどころかその場に座り込んで屁までこいてしまった。
リラックス!まるで9時過ぎの自分の部屋のような行い。
延長コードの立場はどうなってしまうのか。さすがにここまで蔑ろにされて黙っている成人男性はいない。じわじわと怒りが込み上げる延長コード。
堰を切ったように攻撃が始まる。延長コードの電気ムチ攻撃は強力だ!
ムースは何とか腕で塞ぎながら、今までの行いを反省するかのように立ち上がる。
隙をついて延長コードの尾をつかみ、昨日室伏こうじのビデオを(飛ばし飛ばし)みながら思いついた技『ムース放リ投げ』を繰り出す。
延長コードは実に情けない体制でメチャメチャ飛んでいく。
自由になったムースは一時の気の緩みか腰についたウルトラポケットを探った
。ヒーロにあってはならない喫煙行為をしようとしている。
そのとき、ムースのウルトラポケットから大量のパセリが落ちた。
唖然とするムース。
そう、ムースはイジメにあっていたのだ。急に震えだし地面に落ちたパセリを頬張りだす。こういう行為がイジメに繋がっていることをまったく気づいていない。
「うん。これは味噌と合えてもいけるな」
普通に日本語で料理批評をしてしまうほどだ。
そのとき突然ムースの頭に痛みが走る。
そう、忘れ去られていた延長コードが帰ってきたのだ。
しかし元ジュノンボーイのムース。その一撃で完全にぶちギレた。

視聴者の方は『CHA−LA!HE−CHA−LA!』の歌詞をお楽しみください。

光る雲を突き抜けFAR AWAY 体中に広がるパノラマ
顔を蹴られた地球が怒って 火山を爆発させる
溶けた氷の中に恐竜がいたら 玉乗りしこみたいね
CHA−LA!HE−CHA−LA! なにが起きても気分はへのへのカッパ

あと忘れた。

すでに延長コードの姿は無かった。
今日も地球の平和と歌舞伎町の夜は守られた。

53 名前: 投稿日:02/06/17 23:14 ID:Ee9wdabH
「やぐちさぁ〜ん!」
「あ、二人とも。大丈夫?お腹は」
「ええ。何とか。で、怪獣の方は?」
「うん。いつものように・・・」
「ムースが来てくれたんですね」
「うん」
3人は笑う。
「あの・・・」
「あ、マッちゃん」
「すいません。私のせいで」
「ううん。いいよ。だってムースが助けてくれたから」
笑顔で石川が答える。
「そうだよ。それより、今日は楽しかったよ。ありがとう」
吉澤がマッちゃんと握手をする
「ははは。そんな」
「それじゃ、うちらは帰るよ」
「え?」
「おやスマナイト」

ああ、そうか。失敗か・・・。


名前: E-mail(省略可)

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